一生全力モラトリアム

Long long time is ago.

WHITE ALBUM2〜幸せの向こう側〜

OK、気持ちがまとまったところで感想を書こう。
相変わらず人を選ぶ、特に主人公の行動に関してはフォローできないレベルに好き嫌いがはっきり表れると思うが私は大好きなゲームだということを再認識させられました。
後、Hシーンを削ってもPS3版やるべきだと思います。だって正直ICのインストールとかどこまでCCをインストールしたらICに新しいCGが出るとか、デジタルノベルを本で読む(いいんだけど)のもめんどくさい、ボイスドラマって今どこで聞けるのさ!って新規の人にはPS3版をお勧めします。自分もどっちかというとHシーンも欲しいんだけど濁らせる程度でいいかな…と。
後、IC〜CCまでのムービーが見れるのも素晴らしいです。モーションポートレートはあんまり期待しないほうがいいですけどね!

  • 杉浦小春 誠実の中の嘘、嘘の中の誠実

さて、PC版でも絶賛していた小春ルートですが、やっぱりきつかった。
矢田が諸悪の根源みたいに見えたのは自分の間違いですね。

それは勘違いだ。忘れなさい、以上

だったと思います。某春希先生の言葉を引用するならば。
どちらかというと、ICで掴まえたと思ったかずさが自分の手から離れてしまうことに極端に怯え、何かに縋ろうとしていた矛先がグッディーズやら海桜社アルバイト、塾講師だったんでしょうね。
まぁ逃げキャラ三人ともに言えることなんですけど。
グッディーズでも谷川さん(名前うろ覚え)も春希目当てでバイトして一週間でやめてしまうエピソードがありましたし、CCの北原春希はあのおせっかい委員長じゃなくてただの弱虫だったことがよく良くわかります。
小春と思いが通じ合ってからの行動が一番つらかったですね。具体的には「あなただけのビッチ」エピソードあたり。
友達の思い人を寝取った、その上後期委員長の小木曽弟の実姉の彼氏を寝取った小春の罪は学校内でハブにされること、なのかもしれませんが春希の前だけでも「いつもの小春」でいようと、大人びた考えでいたいと願った彼女でもやはりボロは出るわけで。
3歳の差を埋めるには、一生懸命背伸びしてナデナデしてもらうことしか無かった。
3歳の差、2年放置された雪菜の気持ちを考えるとやっぱりまだまだ小春ちゃんは「子ども」なんだなぁ。
勿論、小春を堕とした春希に罪は無いとは言い切れませんが。
武也の

あの子のやったことは最低だ。だけど、お前のしたことはもっと最低だ。

この一言に尽きると思います。
そして、冬が終わり春が来て、矢田たち全員卒業、進学、小春は…。
やっぱりあの合格して泣いてるCG、付属の制服を着てるのは彼女たちとの和解ができなかったから、という結論に達するのでしょうかね。
春希と小春がめちゃくちゃにしてしまったすべてをとりもどすための一年、誠実に生きていたつもりがちょっとした歯車で狂ってしまった一年。
その代償があのCGすべてにつまってるのかな、と思いました。パルフェの明日香ルートとの比較なのかなあとも思ったんですが仁せんせぇと春希は同じ年代でも違いすぎるよなぁ。
後、小春ルートの新規CGがとてもエロス…というか素晴らしかったです!!!
それとコンドー(ryを買う新しいエピソードが入ってるんですがすっげーにやにやした。

「先輩!荷物買いますよ!どの棚ですか!?」
「いや、これ…」
「これですねわか…ってゴ!?」
「だから俺に買わせろ、って言ったんだよ」
「先輩のえっちぃ」

こんだけなのになんで小春はこんなにかわいいんだろう。
首元にキスマークなんて完全に挿入してるだろ…!?と思うぐらい。小春っぱいも揺れなくて素晴らしかった。

  • 和泉千晶 都合のいい女と演者としての女とそして、本人

やっぱりWA2で一番賢くて一番北原春希と小木曽雪菜、冬馬かずさの三角関係が(悪い意味ではなく)好きなのは彼女だったんだろうなと実感するシナリオでした。
「長瀬晶子」、「瀬之内晶」、「和泉千晶」と雪菜にも、春希にも都合のいい場所を「都合よく演じれる」彼女は賢くて、卑怯で、愚かで、汚い。
最終的に意識的にか、それだけ春希に「女として」入れ込んでしまったからかもしれませんが「初芝雪音」への気持ちへ変化して

わたし、和希くんのこと、本当に、本当に愛してる! これだけは真実だって、約束する…

小木曽雪菜でも冬馬かずさの気持ちでもないただの「和泉千晶」の気持ちが積もってる気がするんですよね。
本当は女として打算的に打って、春希に入れ込んでしまうつもりが、そんな単純な話で済むわけがなくて本気に演者が恋を探しているつもりが深入りして知ってしまう―そんなシナリオに感じられました。
ほんと、打算的で卑怯でいやな奴だと思いますよ。某天使のいない12月の方のように。
だけどあの方との決定的な違いは最終的に「バカな女」を演じ切り、「バカな男」がバカな女を共依存させてその場限りでも良いじゃないか、おいしい、幸せな味を知ってしまえるのならという感じを受けましたがこちらは違うんですよね。
こっちは「瀬之内晶」の正体も、今まで裏切ってきたことも、演技のために雪菜に近づいたことも、すべてひっくるめて春希も雪菜も許してしまう。その場限りじゃなくてすべてを許してしまうってあたりが天使のいない12月との決定的な差じゃないでしょうか。比較するものが丸戸の過去ゲーでなかったので…というのもあるんですけど。
最終的には初芝雪音は劇中でピッグを貰い受けますが、安っぽいブレスレットを受け取って、永遠のさよならを味わって。
結局演者「瀬之内晶」も「長瀬晶子」も「和泉千晶」の一部だったということを伺えますね。どれが本当の千晶?じゃなくて全部が千晶。本人は気づいていなかったのでしょうが、「都合のいい女」としての「和泉千晶」も結局は千晶自身だった、ということですよね。
それを見破った小木曽雪菜はすごいよなぁ…。

最後くらいはさ、幸せなエンディングを見せてよ

やっぱりあの三角関係に入り込まず、傍観者として一番恋い焦がれ憧れていたのは純粋な「千晶」だったんでしょう。

  • 風岡麻理 アラフォー女の恋愛と二人の代役?

CCのキャラの中で一番社会的に利口なのにワーカホリックでキャリアウーマンで回りが見えない、ある意味小春と同レベルの恋愛をしていたのが麻理さんだったんじゃないかと。
何度か冬馬かずさとの比較をされ、傷ついてるのに求められたら受け入れてしまう、すっごい恋愛に関しては子どもな人。
それでもかずさと雪菜との決定的な違いは丸戸の入れ込み方でしょうかね。いやあ愛が伝わってくるってレベルじゃない…。
本当にこういうNG女が好きなんだなあと思うわけで。
親友・佐和子さんの力を借りてICでできなかったことを可能にしてしまう一番切羽詰まった―は言い過ぎか、年齢相応じゃない可愛い麻理さんとその仲間たち(海桜社のみんなだよ!)を味わえるのは麻理さんルートだけだよ!

  • 冬馬かずさ 野良犬の飼い主はただ一人

さて本番。
PS3の「不倶戴天の敵」シナリオも含めて野良犬かずさの魅力はなんなのか。
PCではかずさNomalとして扱われていたルートがPS3では「浮気ルート」という名前になってるんですよね。これは少々意義を唱えたい。

雪菜に、返すよ

長くすれ違ってぶつかった冬馬親子が真っ当から向き合うことを目指していた/目指したのに残された時間は僅かだった、という悲しい側面もあるのですが、浮気ルートでは事実を知っても“あの”ピアノしか才能のないかずさが、春希の力も、冬馬母の力も、勿論雪菜の力も誰一人として借りず一人足で立って、子どもの恋愛は終了して自分はピアノと一生共に生きていく。
一晩だけだけど、新妻としての役割もできなかったけれど、「北原かずさ」だったんだよ、っていうのがものすごい重くて鬱屈して悲しいけれど、それがかずさの一面だと思うのです。
だから「浮気ルート」って名前より「決別ルート」って言ったほうが正しい気がするんですよね…。
そして、Extraシナリオ「不倶戴天の敵」でやっと雪菜と向き合うことができた。不倶戴天の敵から親友に戻れた。
このルートだと結果的に春希の気持ちは献身的に働いてくれた雪菜に傾いているのか、それとも遠くウィーンでオーケストラを演奏しきるかずさをもう遠い過去として見ているのか、どちらともとれる感じでやっぱり「決別ルート」というよりは「浮気エンド」なのかもしれません。(解釈が難しい)
一人足で立って歩いていくかずさをあの春希が支えないというのも自分が「浮気エンド」と言わずに「決別ルート」と呼びたい理由の一つなんですけどもね。
そして曜子さんのかずさへの大切すぎて辛い想い(骨髄移植を拒否したり)がああ、春希がいなくてもいいんじゃないかな、と思った理由の一つだったり。

自分の娘に傷なんかつけさせられない!

そんなことを言いながらも、オーケストラを聞いてかずさにライバル心を燃やしてメラメラ真っ向から大人げない姿を見せるのも曜子さんらしくて良かったです。
では、本編。
基本的にはNomalと一緒ですけど北原春希のうっとおしさすべてが詰まってる、と言ってもいいルートだったんじゃないでしょうか。
だって、ピアノしか能のないかずさの面倒を見きれるのは春希しかいないから。
唯一の母親が白血病になって、自暴自棄になるかずさをセーブできるのは春希しかいないから。
PC版では曜子さんの病名は伏せられていたので、糖尿病か何かかなと思ったらOH…となりましたね…。
すべてを持っている雪菜と、手に入れたものはすべて壊していくけれど世界一幸せな女の子になれたかずさと、かずさを手に入れるために桜海社の人たち、友人たち、そして将来の家族であったであろう、小木曽の家族、すべてに決着をつけなければならず、挙句、歌の歌う二人の大好きだった女の子すら壊してしまい、居場所も無くなるというのはあまりにも切ない、だけど「すべて手に入れてハッピーエンド幸せ幸せ」な子どもの時間は終わった、と解釈したいなと思っています。
何かを手に入れるためには何かを代償にしなければいけないけれど、冬馬かずさという天才ピアニストを手に入れるためにはそれだけの大きな代償を払わなくてはならない、ということでしょう。
きっとこのルートでちゃんと雪菜に「かずさの母親が重篤である」ということを伝えていれば、かずさが一人ぼっちだということを伝えれば、こんなことにはならなかったでしょうね…。
それを真っ当から否定するのが雪菜Trueなんでしょうが。
この忠犬は自分がいないとどうしようもない、どうすることもできない、アリとキリギリスならピアノを楽しく弾いて遊んでいるキリギリスにしかなれない、と思い込んでる春希の荷物が重すぎます。
でもしょうがないよな、と思わせてしまうのが「ホワイトアルバム
「幸せの向こう側」なら一人が幸せならどちらかが悲しい思いをしてしまう。それはしょうがないことなのでしょう。
でも、最後の

私は今でも歌っています

という雪菜の動画は雪菜自身の強さを表していると思います。だから余計何もできないかずさと、母親のようにすべてを包み込む雪菜の違いをふと見てしまうと“委員長”春希は何もできない子どもを助けてしまいたくなってしまうのでしょう。

  • 小木曽雪菜 傷ついて傷つけられてそれでも諦めない

最終的にWHITE ALBUM2って小木曽雪菜の小木曽雪菜であるための物語だと思うんです。
かずさと春希はスパイス程度で。
ICで傷つけられてかずさを追い詰めて、春希を追い詰めた張本人は間違いなく雪菜。
奪った、のはかずさではなく雪菜。三人でいることがもうできないと踏んでキスをしてしまうかずさを見てしまうからこそ、ただの実行委員さん→ギターくん→北原君→私の春希くん
と段階をちゃんと恐ろしいほど踏んでCCの春希がどのキャラに逃げようとも追い詰めてくるほんとに魔性の女、強くて、気高くて、それでも弱い部分があって、でも犯した罪を全部許してしまう。
千晶が演じ切れなかったのも当然だと思います。
「いい子ちゃん」じゃないからこそ小木曽雪菜は偶像ではなく、1キャラクターとしての魅力があるんだよなあと思うわけで。
かずさ考察に書きましたけど、春希もやっぱり「欠陥家族」なんですよね。
それだからこそ何もできないかずさを大切に思ってしまったり、聖母というかすべてを包み込んでくれる、罪を洗い流してくれる母親のような雪菜に甘えてしまう。
うまい関係だと思います。
かずさは弱くてどうしようもないけれど、雪菜は自分で立ち直れる強さを持っている。何より、助けてくれる仲間も大勢いる。
ただただ、人を嫌い、虎の威を刈る孤高の狐でいるかずさとは違い、依緒、武也、あれだけお互い嫌いあっていた筈の柳原朋、小木曽父、母、孝宏すべての援助を借りつつもちゃんと“自分で行動できる”ヒロインだと思います。
だから「不倶戴天の敵」で「一生モノの友達」なのでしょう。
アルバム作成の部分なんか一番きゅんと来ましたね。あの「軽音楽同好会再結成」それだけでも。
かずさNomalルートだと

あたしはさ、思ったんだ。教会でオルガンを奏でながら照れてる春希と幸せそうな雪菜を見たいって…

それがすべて詰まったのが雪菜Trueじゃないかと。
というか、いつもの丸戸の優しさがすべて詰まったのが雪菜Trueだと思います。