一生全力モラトリアム

Long long time is ago.

天使のいない12月

数年前にやって異様に共感しすぎて、うわわわわと思った作品。ぶっちゃけTo Heart2より(゚∀゚)!!って思ったんだよね。
若かれし頃。

完璧超人だけれども、何か影を持ってる美少女でーっていうのはもうお決まり文句ですよね。
初めはホントに時紀がビビりまくり逃げ惑う姿はおーキングオブへたれーと見ていたのですけれども。
結局「感情を捨てて」生きていたつもりだけれど、そんなことは出来なかった、って簡単なハナシなんですよね。雪緒ルートって。
軽く三角関係になっちゃって柚原このみ恵美梨に「おにいなんて死んじゃえ!!」って日々言われてたけどホントに実行しちゃったよ、ってか。
絶対に過去の雪緒だったとしたら踏み込んでたと思います。
それでも時紀との関わりとか、維納夜曲の明日菜さん、てんちょ、恵美梨との繋がりを結論的にとったものだと解釈できるのではないのかなぁと。
勿論エンディング後の

恵美梨ちゃん…泣いてたわ…
(中略)
もうこりごりね、こんな痛くて辛いことなんかもう十分。

っていうのは嫌いながらも兄に対して、そして大好きだった先輩が重傷で済んだこと、に対してだと思うんです。
天使はいなくても、身近な所に幸せがあるんじゃないかなぁと思ったシナリオ。

  • 麻生明日菜

賛否両論ですが私は好き。
キャピ☆ってしてる性格の裏ではホントは愛して欲しくて堪らない、幼子のような人なんだなと。
文吾さん(店長)が今現在明日菜さんをバイトとして雇っているのはその、彼女の本質的な部分を知っているからこそ、繋ぎ留めていなくてはいけないのでは、と。
両親が離婚した後、叔父夫婦の家に遊びに行っていたけれど、“本当の子供が出来て”明日菜さんの場所が無くなった。
それから、明日菜さんが「軽くても良い繋がり」を求めて売春してしまった。
その事実を辛く受け止めて、文吾さんは長い目で見守っている、ような気がするんですよね。
叶ったのは永遠という贖罪。

いまはただ……この瞬間だけは失いたくない。この瞬間だけは永遠であって欲しいと願っている。

騙されたとフリをしている馬鹿な男と、馬鹿な男を騙したと思っている馬鹿な女の話。
どんな結果になるであれ、明日菜さんには幸せになってほしいなぁ。
少なくとも、苦しんで出した結果なんだから。
橘他に過去を知らされ、今だって過去の事に苦しんでいるのならば、少しだけ休んだって構わないんじゃないかなぁ。
真帆ルートでも

知り合いによく似た(透子)子がいたの
すっごくきれいになったわよ
だから磨けば光ると思うわ

って言うのは自分自身を言っているのでは。

  • 葉月真帆

「恋愛はハートでするもんじゃないですか」
なんていうピュアっ娘。多分天いなのなかでは一番ピュアーだったんじゃないかなぁ。
功とのこの諍いをうまくまとめて、願わくば功と幸せになってほしかった、なぁ。

何をしても弱いから…その誘惑に負けた
誰かの上に立ちたい、思うがままに振り舞いたいって願望に負けたんだ
(中略)
透子が俺に依存してたんじゃない。
俺が透子に依存してただけ…透子の弱さに寄りかかってたにすぎないんだ

こんなに弱っちくてそのくせ力任せに事を進める時紀なんかより絶対良かったと思う。
真帆ちゃんも透子も本質的には似てるんだよなぁ。
セックスでしか繋がっていられないけれどちゃんと愛を感じる透子と、セックスしなくても相手と繋がってられた真帆ちゃん。
だから、真帆ちゃんが相談してきたときに透子が泣き叫んだんだろうと思います。
ラクロスの部分でも怪我して私は…って言うときにも彼女には“ラクロス”という誰からも認められる特技が有った。
でも、透子にはそれがない。

ホントに好きなのに分からないなんて…悲しいです

お互いに一番好きな人をなくして、ただ傷を舐めあう、そんな関係になってしまったけれど。
それはそれで正しいんじゃないのかなぁ。
この不器用な少年少女たちには。
真帆ちゃんはとても純粋な女の子だと思う。
「恋愛」を高望しすぎてた部分って絶対有ると思うんだ。
悲しすぎるけれどもね。
本当にしーちゃんの言うとおり
「恋をひきずってもう二度と恋なんかできなくなればいい」
多分きっとそう。
「言葉」って大切なものなんだよ、って分かってる。
それなのに言えないもどかしさ。
その隙間を埋めるだけの“行為”にすぎなくて。
でもその隙間が空いていれば空いているほど空虚に感じてしまう、誰かとリンクしたい、「繋がっていたい」という有る意味王道で分かりやすいなラブストーリーだったんじゃないかなぁ。
そのあとの恵美梨の言葉、

だから待つの。大人になるまで

それが理解出来るようになった、切なさって言うのも重々あるなぁ。
当時はへ?好きなら好きって言えばいいじゃない、簡単なことなのに…って思った。
そうじゃないんだよねぇ。“大人”になればなるほど言えなくなるのさーね( ´∀`)フハハハハ
EDの「ヒトリ」を聞いてじわっっとなった。

  • 栗原透子

そう、当時も思ったんだよ。
自分には特技も何もない、体しかないの!って泣き叫ぶシーン。
あるある、というか分かる…。
しーちゃんの金魚のフンして、自分には意見が言えなくて。
でもちゃんと「心」は有る。
ちょっと抜けてる純粋な子なんですよね。あのトロさって逆に言うと。
携帯のシーン良いなぁ。当時はそう思わなかったけど、携帯のやり取りってなんか良いよね。
多分これも“繋がり”を意識してるんだと思うんだけどさ。
イラッとくるところもあるんだけど「携帯の使い方わかんない」とか言われるとやっぱクスってなる。
しーちゃんの気分分かるわー。
携帯の使い方分かっただけで泣くって!どんだけピュアなんだよ…!かわいいなっ!
逆に依存してたのってしーちゃんなんですよね。
透子の面倒を見てるんじゃなくて、透子の世話をすることで自分が満足する、って倒錯してるなんだよなぁ。
透子が誰かと繋がりたいと考えるのに対してしのぶは透子だけと繋がっていたい。
難しい心理だよね。それが乙女心なんだけどさ。
たとえ相手が負担に思ってなかったとしても面倒見てもらう側は嫌な事言われたりみじめな思いをする。
縁を切ろうとすれば、繋がっていたくてしょうがない。
その上明日菜さんのアプローチかー。
まぁ有る意味へたれだけど誠実だよね。
明日菜さんも子供だと思う。
時紀をカバーする(心理的に守ってあげるポーズ)とれば、幸せになれるんじゃないかと思っている部分。
文吾さんが止める部分。ここで合致しますねー。明日菜ルートと。
彼女は彼女で盛り上がるクリスマスを一人さみしくジングルベルを聞いていられるタイプじゃないんだろうな。
真実が欲しくて。嘘で塗り固められた言葉とかセックスとかじゃなくて行動、ただそれだけが欲しくて。

永遠でなくていい
本物でなくていい。
それがいつか朽ち果てていく思いでも

曲がりなりにも時紀の恋情なんですよね。ホントに真っ白で、少し歪んでいるけれど。
真剣な恋愛だと思う。それが端的にセックス、に結びついちゃうあたり。
明日菜さんとしーちゃんに振り回されて、やっと気づくあたりも子供だなぁと思ったけど、このカップルは本当にそのままでいてほしいなぁと思った。
昔やったイメージと180度転換したヒロインかもしれない。
ウザっ!で済まされていた子がこんなに健気だったとは…。
すごいなぁ。

  • 榊しのぶ

こいつも雪緒さんと一緒で「痛い」って感情が生きている、って証になるっていうタイプなんだよね実は…。
心配性+思い込みが激しいというか、なんというか、うん…。
正義感があれば有るほどそういうタイプって堕ちてくんだよねぇ。

もちろん拒否できない。拒否したら殴られるから。
すべての答えはイエス

迷台詞キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
しのぶもあれなんですよね、ホントに雪緒さんと違うけれど純粋。
というか天使のキャラはどの子も純粋すぎて、雪のように踏みにじられる。
そこから成長していくんですけどね。
「心なんてなければいいのに」
あるから涙が出たり、透子と一緒にいられるんじゃないか…。
時紀があまりに無力すぎて辛い。
というかしょうがないんですけどね。
ホントに透子は将来的には時紀もしーちゃんも許すんでしょうけど、もう三人一緒じゃない。
「今だけの存在」なんですよね。
幾ら時紀がしーちゃんを愛したとしても、彼女は首を振らないでしょう。
それが分かっていても、指が触れあっただけで、その運命を信じたくなってしまう。切ないなぁ。

願ったのは束の間の安らぎ
叶ったのは永遠という贖罪。
それは永遠ではなく
真実ではなく
ただそこにあるだけの思い